友日Ⅵ
「行ってきまーす!」
いつものように元気に家を飛び出していき、商店街を歩く。
実は私の家、もとは、お父さんがやっていた店の2階なんだ。
1階は普通のくだものやさん。でも2階は、壁に穴が開いているようなボロボロの家だ。
商店街をぬけて、まっすぐ進むと学校がある。
そして、いつもの商店街をぬけると、通学用のカバンを両手で持ち、私と同じ中学の制服を着た、真っ黒な髪の女の子が歩いていた。
これは・・・。
「つばき先輩、おはようございます。」
振り返った女の子はやはり、つばき先輩だった。
「先輩もこの辺に家あるんですか?」
「まぁね。」
先輩は短く答えると、また歩き出す。
私は急ぎ足で追いつく。
「先輩って、ここに引っ越してきたんですよね?」
あぁー、こんなことより、もっと聞きたいことがあるのに言えない。
「うん、あなたたちが入学してくる頃人にね。」
ってことは、3か月ほど前・・・ってそんなこと考えてる場合じゃない。夢のことを聞かなくちゃ。
「変な夢見たんですよね~。先輩と咲千絵ちゃんって子が出てきたんですよ。」
先輩が私の顔をチラッと見てきた。
「その咲千絵ちゃんのね、お姉ちゃんがつばき先輩なんだって。
先輩の足が止まったので、私も足を止めた。
「咲千絵ちゃんが私のパワーは見せてはいけないって。ジャスティスには・・・。」
先輩と目があった。今までいつもうつむいている先輩とは目があったことなどなく、その目が澄んでいて、咲千絵ちゃんと似ていることに気が付いた。
「そうよ。里菜ちゃんのパワーはジャスティスにはきずかれてはいけない。だから、いち早く自分できずかなくてはいけない。私たちはジャスティスの味方をしてはいけないのだから。夢のことはみんなに絶対言わないで。」
つばき先輩はそう言うと走って行ってしまった。
私は疑問に思いながらもゆっくり歩き始めたのだった。
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